ベトナムでロブスタ種が多い理由

世界のコーヒー生産国、1位はブラジル、2位はベトナム。

出典:https://www.globalnote.jp/post-1014.html

このベトナムっていうのは変わった国で、コーヒーの生産は1990年代から急激に増加して世界2位まで浮上し、しかも大部分はロブスタ種の生産、というところまではご存知の方も多いと思います。

ICOの資料より作成)

しかし、なぜ価格の安いロブスタをメインとしたのか? ところまでは、あまり情報がありません。

調べてみたところ

中部高原エリアへの人口移動

政府による開発奨励

中部高原の気候に適していたのがロブスタ

という経緯があることが分かりました。

それでは、以下くわしく見ていきます。

中部高原への人口移動

1970年代から1980年代前半にかけて、ベトナム政府は失業や社会不安解消のため、新規開発エリアへの移動を奨励しました。

具体的には南部のメコンデルタや北部の紅河デルタといった地域から、未開発の中部高原エリアへと人口移動が進みました。

中部高原エリアの人口は、1975年には150万人でしたが、2000年には420万人まで増加しています。

これは当初はコーヒーの増産を意図したものではありませんでしたが、300〜500mの標高があり水資源の豊富な中部高原エリアは、のちにロブスタコーヒーの栽培に非常に適していることが分かりました。

ドイモイ政策による開発

1990年代に入ってコーヒーの生産が急激に増えた背景には「ドイモイ」政策があります。

これは、それまでの社会主義経済を方向転換し、自由主義・個人主義・生産性向上に向かおうとする改革です。

農業経営においては、それまでの国営農場体制が解体され、家族型経営へとシフトしました。その結果、

  • 土地の私有や譲渡が認められたため、新規に農地を開発するインセンティブが生まれる。
  • 農家は雇われから自営の身になったので、働けば働くほど収入が増え、生産性が上がる。
  • コーヒー栽培農家への税金減免措置も講じられたため、新規作物としてコーヒーが選ばれる。

という効果が現れました。

ベトナムでは今なお、コーヒー農家の85%が1ha以下の小規模経営です。

気候に適したロブスタ

中部高原の環境は

  • 肥沃で水をよく含む玄武岩土壌で、コーヒーのような根の浅い多年生作物に適している
  • 充分な降水量と地下水がある。また灌漑設備がよく整備されている
  • 雨季と乾季のある熱帯気候。平均気温は年間通して18~25℃と安定している一方、昼と夜の寒暖差がある。
  • 標高は300〜500m程度。これはロブスタ種には向いているが、アラビカ種には低い。

ということで、環境に適したロブスタ種が栽培されるようになりました。

生産性の高さ

ベトナムのコーヒー農園は非常に生産性が高く、1ヘクタールあたり3トン(世界平均の3倍!)と言われています。この要因として

  • 収穫量の多いロブスタがメイン
  • ロブスタなのでシェードツリーが必要なく、密度高くコーヒーを植えられる

という点が挙げられます。

ロブスタ種が結果的に残った?

妹尾裕彦氏の調査によれば、中部高原地域の農家で、アラビカ種とロブスタ種を同様にシェードツリー無しの過密栽培で育てていたことがあるそうです。

アラビカ種にとっては過酷な環境での栽培がおこなわれたため、結果的にロブスタ種が残ったという面もあるのかもしれません。

参考文献

妹尾裕彦 「コーヒー危機の原因とコーヒー収入の安定・向上策をめぐる神話と現実-国際コーヒー協定(ICA)とフェア・トレードを中心に-

Anthony Marsh「Diversification by smallholder farmers: Viet Nam Robusta Coffee

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