ハットフィールド&ザ・ノース『ロッターズ・クラブ』

カンタベリーロックの最高峰・到達点と言われる作品。

プログレやカンタベリーでは20分近い大曲がときどき作られる。
ピンク・フロイドなら「原子心母」や「エコーズ」、
イエスなら「危機」、ELPなら「悪の教典」
そしてこのアルバムにもB面いっぱいを使った組曲が存在していて、
そのタイトルは”Mumps”。訳すと「おたふく風邪」。

なんとも肩の力が抜けているではないですか。
カンタベリーの一流メンバーが集まり、
そのバンドの集大成と言える曲がなにゆえにおたふく風邪なのですか。
曲の構成も、演奏もめちゃくちゃ気合入っているんだけど、
この辺の脱力感がまさにカンタベリーですね。

それで中身の話はというと、

絹の上に色とりどりのビー玉を転がすような、
キラキラと煌めくやさしい音色。
緊張感あふれるインタープレイをしながらも、とげとげしさは皆無。
次から次へとメロディが湧き出し、
どこへ向かうのか分からない、めまぐるしく複雑な展開。

冬も終わりかという頃になって風邪をひいてしまい、家で寝ていると
だんだんと日も高く上がって天気がよくなって、
自分のまわりだけ時間が止まってしまったような、
眠るか眠らないかの境目をうろうろしているときのような
夢見心地の快感。
そんな気怠い浮揚感。あの感覚にとてもよく似ている。

ぽっかりと空いてしまった時間を抱きしめることが、
実はとても美しく、幸福に満ちたことなのだと
気づかせてくれる作品だ。

冬の寒さを適度に感じられる室温で、
ホットミルクでも飲みながら味わいたい。

次に聴くべきは・・・

キャラヴァン『グレイとピンクの地』
おっとりとして親しみやすく、徹底して淡々としているところがカッコイイ。
そしてジャケットが美しすぎる。



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