矢野沙織『SAKURA STAMP』

日本人アルトサックス奏者のアルバム。
2005年のこのアルバム発表時には18歳くらいで、
若々しくフレッシュさに溢れた作品・・・
というのを期待して聴くと、意外なくらいに
汗臭く、タバコ臭く、土臭く、硬派にビバップ全開。

1曲目、チャーリー・パーカー作の「ドナ・リー」から、
ニューオーリンズやカンザスのにおいの風が、
ブンブン吹いてくるではないか。

圧巻は5曲目の「レッド・ハウス」だ。
ジミ・ヘンドリックス作のブルースで、
そもそもこんな曲をやるのが既におっさんだが、
オリジナルでは3分そこそこの曲を、みっしりとハイテンションで8分40秒も
吹き倒している。
クラクラする真夏日のように暑苦しーい1曲だ。

で、そんな土ぼこり舞う熱風の合間合間に、
ほのかに、桃色の瑞々しい香りが漂う。
この加減が絶妙なのだ。

これは狙ってやっているのか、彼女の体から勝手に発散されているものなのか、
聴いているこちら側の先入観によるものなのかは分からない。

しかし、このアクセントが付くことによって、
このアルバムの音は、肌に染み込む強い浸透力を得ているのだ。
例えるならば、ただの塩水と思って飲んだら
ポカリスエットだったかのように(?)

次作『GROOVIN’ HIGH 』以降は、この独特の浸透力は現れていない気がする。
おそらくごく限られた時期のバランスの上に存在した何かだったんだろう。
もちろん次作以降も完成度は高く、実力も上がっていていい作品なんだけどね。

あと最後に一つ、ピアノじゃなくてオルガンってのがいいね。
マジメ臭くなりすぎず、いい浮揚感が出てる。

深煎りのコーヒーと、アポロチョコでも用意して聴きたい。

次に聴くべきは・・・

ライブ盤を1枚挟んで次作の『GROOVIN’ HIGH 』
こちらはクサすぎず、洗練された出来。
TSUTAYAの店内放送でよく使われてます。

あと、系統は全く違うけど
桃色具合がまことにいい感じなカンタベリー・ロック
キャラヴァンの『グレイとピンクの地』

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